シェムリアップにあるタ・プロームの見所は巨木に覆われた遺跡
カンボジアといえばアンコールワット遺跡が有名ですが、その周囲のタ・プローム(シェムリアップ)も見どころの多い遺跡です。当地はアンコールワット周辺遺跡群として、世界遺産にも登録されています。遺跡自体は殆どが倒壊していますが、巨大な樹木が深く絡み合う姿は圧巻です。まるで巨大な樹木に遺跡が踏みつぶされた格好になっており、世にも珍しい光景を見せてくれます。
五千人もの僧侶が暮らしていた
カンボジアのタ・プローム(シェムリアップ)は、クメール人王朝のジャヤーヴァルマン7世が母親を弔うために建造した仏教寺院です。当時は五千人もの僧侶が暮らしており、ひとつの街のような様相を呈していました。その後、寺院はヒンドゥー教の寺院に改修されますが、仏教寺院の面影も随所に残されています。カンボジアにある当寺院が発見された当初、既にガジュマル等の巨木に覆われていました。建物は浸食のせいで崩壊しかけており、寺院の面影を留めていませんでした。それでもカンボジアの遺跡として残すに当たり、修復されるなど人の手が加わることはありません。それは、熱帯での遺跡の管理を調査するため、自然のままに残すことを当局が決めたからです。同時に、ガジュマルなどの巨木を残すことで、自然の驚異が示される観光スポットにする意図もあったわけです。それが功を奏して、現在の人気観光エリアにつながったと言えます。
ガジュマルの巨木は樹齢が300年
シェムリアップのタ・プローム寺院の西塔門には観音菩薩が配されており、優し微笑む表情が刻まれています。ガジュマルの巨木は樹齢300年に及び、「締め殺しの木」の異名を持っています。その遺跡を覆う姿は、現在でも成長し続けているわけです。こうした自然と遺跡の融合こそが、タ・プローム(シェムリアップ)の大きな見どころとなります。そこには修復された遺跡にはない、長い年月が織りなしたありのままの姿が息づいています。一方、一部では修復計画も持ち上がっており、ユネスコを中心に議論が進んでいます。巨木が建物を破壊しているか、あるいは建物を支えているかで議論が分かれます。タ・プローム(シェムリアップ)はツアーで訪れるのが通常で、殆どがアンコールワット遺跡巡りの一環として組み込まれています。修復計画が進む中、ありのままのタ・プロームを訪れるには早いうちが良いと言えます。
タ・プローム寺院には回廊があり、それもガジュマルの巨木に覆いつくされています。その光景は巨木が建物を食べている様相で、浸食という表現がぴったり当てはまります。自然の力の偉大さに、改めて感服させられます。樹齢は300年とも400年とも言われ、その中に遺跡が負けじと建ち並んでいるわけです。将にアンコールワットに引けを取らない、カンボジア観光の目玉と言うべきスポットです。