カンボジアの第二の世界遺産、ダンレク山地の断崖絶壁に聳えるプレアヴィヒア寺院
カンボジアのダンレク山地には、ヒンドゥー教の山岳寺院であるプレアヴィヒア寺院があります。2008年にユネスコ世界遺産に登録されました。とても参道の長い寺院として有名で、山頂まで500メートルの参道を登り切らないと見ることのできないことで知られています。しかしながら、頑張った分カンボジアやダンレク山地の悠然とした山々を見下ろすことができる天空の寺院と呼ばれるに相応しい絶景を望む事ができます。
カンボジアのダンレク山地
ダンレク山地は、カンボジアとタイ、ラオスの国境付近に広がっている山地です。ダンレク山地の北側には、コーラート大地があり、南側にはどこまでも続くカンボジアの平野が広がっています。森林に覆われ丘陵上の山脈で、平均標高は、450?600メートル、最高で761メートルあります。北のタイ側のムーン川流域平野に向かい緩やかに傾斜しているような地形に対して、カンボジア側は、急斜面を成しているのが特徴です。そのため、タイ側から大地がせり出してきて、ストンと落ちたような印象を持つ断崖絶壁の台地の形をしています。その頂上には、カンボジア第二の世界遺産であるプレアヴィヒア寺院の遺跡がありますが、タイ王国との国境にほど近い場所にあるため、過去にはしばしば寺院および周辺地域の領有権を巡って、国境紛争が行われてきた場所です。
天空の寺院とも呼ばれるプレアヴィヒア寺院
カンボジアの北端、ダンレク山地にプレアヴィヒア寺院という世界遺産があります。9世紀末にクメール人によって建造された建物で、11世紀にはヒンドゥー教の寺院として増設されました。プレアヴィヒアはクメール語で聖なる寺院という意味を持っており、標高625メートルの断崖絶壁に建設されたこの寺院から望める絶景に因んで天空の寺院やアジアのマチュピチュなどとも呼ばれています。プレアヴィヒア寺院の中央祠堂から回廊を抜けて遺跡の裏手に出ると、視界が開けた山頂にでることができます。空中にせり出したまるでテラスのような岩の縁から望める光景は、ダンレク山地の山々やカンボジアの平野、国境の向こう側のタイの領土まで広がっており、一度見たら忘れることができないほどの絶景が広がっています。また、遺跡の裏手までの途中にある第四楼門の南側にある三角形の壁に描かれた入海攪拌のクールマは、傑作とも謳われるほど秀逸なので、必見です。
プレアヴィヒア寺院は、カンボジアとタイの国境付近に位置しているため、領土紛争の原因となったこともあるいわくつきとも言われている場所です。2013年に国際司法裁判所にカンボジアの領土と認められてからは、タイからのアクセスが閉ざされてしまったため、現在はカンボジアからしか訪れることはできません。プレアヴィヒア寺院の特異なロケーションはまさに絶景の一言で、遺跡にあまり興味がない人でも一度は訪れてみる価値がある場所です。