天に向かってそびえる姿が圧巻のバガン・タビニュ寺院
ミャンマーは長らく我が国からの訪問が難しい国の1つでしたが、2010年代に直行便が就航したことなどに伴い観光旅行の目的地として人気を集めるようになりました。独特の気候風土と生活文化は神秘的な魅力をたたえていますが、敬虔な仏教徒が多いことからどこか親しみも感じられます。国の中部に位置するバガンは、そんなミャンマーの精神的ルーツに触れることのできるスポットです。
世界三大仏教遺跡の1つであるバガン
バガンはミャンマーの中部、イラワジ川の東岸に広がる平野部を指す地名です。広大なエリア内に膨大な数のパゴダ(仏塔)や寺院が点在しており、カンボジアのアンコール・ワット及びインドネシアのボロブドゥールと並んで「世界三大仏教遺跡」と称されています。世界にもまれな仏教遺跡群として知られるそれらの建造物が建てられたのは、おおよそ11世紀から13世紀にかけてのことです。当時はミャンマー最初の王朝であるバガン王朝の治世で、歴代の王たちが自らの信仰心を証明するために、次から次へと寺院等が建設されていきました。現在、バガンに遺されているパゴダの数は約3,000にのぼると言われています。緑なす草原のそこかしこに塔がそびえ立つ様子は、実に壮観です。すべてを見て回るのは簡単ではありませんが、馬車をチャーターしたり、レンタル自転車を利用したりして遊覧することができます。
バガンで最も高い寺院であるタビニュ寺院
見る人に圧倒的な存在感をもって迫ってくるバガンの遺跡群の中でも、ひときわ目を引くのがタビニュ寺院です。高さが約65メートルにも及ぶタビニュ寺院は、バガンで最も高い寺院です。タビニュ寺院は1140年、バガン王朝の第四代国王によって建立されました。「タビニュ」とは全知者を意味し、仏教の開祖である仏陀のことを指していると言われています。白い漆喰が塗られたレンガ造りの建造物であるタビニュ寺院は、垂直にそそり立つ壁と精緻な装飾を施された屋根によるダイナミックな外観を有します。一方、内部には回廊のあちらこちらに黄金色に輝く仏像が安置され、荘厳な雰囲気を醸し出しています。あまりにスケールが大きいため近くでは全体像がつかみにくいタビニュ寺院ですが、向かいに建つシュエグーチー寺院のテラスから眺めるとその全貌をうかがうことができます。
今まで交流が少なかったことから、日本人にとってミャンマーは長らく「近くて遠い国」でしたが、今ではその魅力が旅行好きな人々の間にも知られるようになってきています。タビニュ寺院を中心としたバガンは、そんなミャンマーの魅力が凝縮されたスポットとなっています。気球に乗って空から遺跡群を眺めるツアーなどもあるので、さまざまな楽しみ方ができます。