贅の限りを尽くした北京の世界遺産「頤和園」
頤和園は、北京市に位置する中国4大庭園の1つであり、ユネスコの世界遺産に登録されています。頤和園は、現在の北京市にあたる大都の水源として12世期に開発された貯水池や金代の離宮が起源とされ、1750年に乾隆帝は母親の還暦祝いに造営したとされる約290haの巨大な庭園です。頤和園は、「昆明湖区・宮殿区・湖岸区・万寿山区・後山」の5つのエリアに分かれており、北京の木々が色づき始める9月から10月がベストシーズンです。
頤和園で最も贅が凝らされている仏香閣
仏香閣は、頤和園のシンボル的な美しい建物であり、中国浙江省杭州市に建つ高さ60mの13層7階建ての六和塔を模したとされています。仏寿朗は、万寿山麓の「星拱搖樞」と書かれた扁額が掲げられている「排雲碑楼」を潜ると排雲門があり、金水河にかかる小さな弓形の「金水柱」を渡ると大報恩延寿寺を再建した「排雲殿」があります。仏香閣は、万寿山中腹の高さ20mの石製基壇上に建築されているので「徳輝殿」の南側にある急な階段を登り切った先にあり、高さ36.5mの八角形3階建ての美しい全景を目にすることができます。仏香閣からは、徳輝殿や排雲殿からのびる長廊越しと合わせ混明湖を一望でき、獅子を544体刻み込み17のアーチを持つ長さ150mの「十七孔橋」の先に浮かぶ「南湖島」も見ることができる北京屈指の絶景スポットです。
乾隆帝を魅了した美しい街を再現した蘇州街
蘇州街は、仏香閣の北側に東西300m続く蘇州を再現した華やかな街並みであり、雑貨店や骨董品店など60を超える商店が軒を連ねているエリアです。蘇州は、春秋時代から江南地方の主要都市として繁栄し街中に運河が張り巡らされている水の都であり、清王朝第6代乾隆帝が6回も行幸したことでも知られる街です。蘇州街は、乾隆帝によって后湖の両岸に建設された乾隆帝が頤和園で最も愛したエリアであり、急な反り橋や人一人がやっと通れる狭い道など遊び心に溢れているエリアです。このエリアは、頤和園如意門にほど近い臨河殿から乾隆帝時代を彷彿させる蘇州船で訪れることもでき、中国の皇帝や皇族が楽しんだ船遊び気分の一端を感じることができます。后湖は、冬季には凍結することもあり、雪に彩られた街並みも春や夏とは異なる趣があります。
頤和園は、中国屈指の観光地なので中国らしく広大な敷地面積を有している庭園なので、蘇州街に近い北宮門や宮殿区に近い東宮門、十七孔橋に近い新建宮門など目的地に合わせて入園する場所を選ぶ必要があります。頤和園は、北京国際空港から直行の交通手段がないのでエアポート・エクスプレスや地下鉄など公共交通機関を乗り継ぐ必要があり、初めて訪れる際にはタクシーの利用も選択肢の1つです。